H&C

ハート&キューピッド(H&C)とは、特殊なスコープでダイヤモンドを上から見ると8本の矢が、下から見ると8つのハートが見える現象です(下図参照)。日本の宝石業界は、H&Cを最高のカットと宣伝しておりますが、H&Cは最高のカットではありません。

H&C

世界的権威の鑑定機関である米国宝石学会(GIA)、国内トップシェアを持つ中央宝石研究所(CGL)、そして以前GIAと提携があった国内の鑑定機関 であるAGTジェムラボラトリー、それぞれのH&Cの検品基準、もしくはそれに対する考え方をご説明します。


 米国宝石学会(GIA)  世界基準でダイヤモンドの品質と信頼を保つために、日本市場だけのH&Cを導入することは世界基準を満たすという理念に反する上、H&Cは美しさと何の関係もないため、H&Cの検品を一切行わない
 中央宝石研究所(CGL)  5段階に分かれているカット(Cut)評価(Excellent, Very Good, Good, Fair, Poor)がVery Good以上を得たダイヤモンドだけ、H&Cの検品をする
 AGTジェムラボラトリー  5段階に分かれているカット(Cut)評価(Excellent, Very Good, Good, Fair, Poor)のすべての評価において、H&Cの検品をする。H&Cは最高カットではなく、レポートはその現象が見えますよという報告だけ
 

上記のとおり、カット評価がExcellentでなくても、H&Cを確認することができるため、H&Cの検品結果があることが、 最高のカット評価ではありません(以下参照)。

 中央宝石研究所鑑定書  中央宝石研究所 H&C検品結果

上図2つは、中央宝石研究所(CGL)から出された、ダイヤモンドの鑑定書とH&Cの検品結果のサブレポートの画像です。 中央宝石研究所のオフィシャルサイト(http://www.cgl.co.jp/diamond-check)でも, 下記の鑑定番号(Report#)を入力することで確認することができます。

 Carat  Color  Clarity  Cut  Fluorescence  Polish  Symmetry  Report#
 0.427  D  VS1  VG H&C  Strong Blue  VG  VG  CGL:IIP6886

このダイヤモンドのカット評価:Very Good(VG), ポリッシュ評価:Very Good(VG), シンメトリー評価:Very Good(VG)であることが、鑑定書の画像で確認できます。 カットの最高評価は、3EX(トリプルエクセレント)と呼ばれる、カット(Cut), ポリッシュ(Polish), シンメトリー(Symmetry)の3つが, それぞれExcellent評価されたものです。 このダイヤモンドはH&Cの検品結果を得ていますが、H&Cの検品結果とカットの最高評価に全く関係ないのが、ご確認できます。 カットにおける対称性を評価するのは、シンメトリー(Symmetry)。このダイヤモンドのシンメトリー評価がVery Good(VG)で あることから、H&Cの検品結果を得たダイヤモンドが、カットの対称性に優れているわけではないこともご確認できます。

H&Cがあることはロマンチックですが、欠点もあります。 ダイヤモンドが裸石の状態であれば、特殊なスコープでH&Cを見ることができます。しかし、一度空枠に裸石をセットすると、矢は見ることができますが、ダイヤモンドを 枠から外さない限り、ハートは見ることができません。 また、ダイヤモンドの価値を決める4Cs;キャラット(Carat), カラー(Color), クラリティ(Clarity), カット(Cut) が同じである場合、 H&Cがあるダイヤモンドの方に、日本では高いお値段が付きます。 また、カット評価が3EXの中でも、H&Cの検品結果が出るダイヤモンドのほうが、輝きに劣るという研究結果もでております。

ジュエル・フジマキでは、H&C検品結果のあるダイヤモンドと、H&C検品結果が無くより品質の高いダイヤモンドも豊富にそろえておりますので、お問合せ下さい。

H&A

GIA鑑定のH&A(ハート&アローズ)のダイヤモンドに関するお問合せを頂きます。

国内では、主に上記の現象をH&Cと呼びますが、同じ現象の事を海外ではH&Aと呼んでおります。

上記のように、GIAはH&Aに関して、ダイヤモンド鑑定という中で一切触れることはございません。しかしながら、下記のような鑑定書をご覧になられる場合がございます。

GIA H&A

上記のGIA鑑定書をご参照ください。Inscription(s) の欄に GIA鑑定番号(セキュリティ上、番号は隠させて頂いております)とH&Aと記載されております。その為、多くのお客様が こちらのようなGIA鑑定書が付いているダイヤモンドは、GIAによってH&Aの鑑定もされていると誤解されております。

Inscription(s)の欄には、ダイヤモンドのガードル部分に何がレーザー刻印されているかを記しているだけになります。

GIA鑑定番号は、鑑定依頼者からの要望がない限り自動的にGIAがレーザー刻印致します。また鑑定依頼者からの要望があれば、基本的には名前等、どの様なモノでも刻印して頂けます。 しかしながら、GIAがレーザー刻印を拒否するモノもございます。それは、GIAによって使われる鑑定用語です。例えば、D Color, Flawless, Excellent, TypeIIA等でございます。

H&Aというのは、GIAの鑑定用語にはございませんので、鑑定依頼者からの要望があれば、ガードル部分にレーザー刻印して頂けるということになります。その為上記の鑑定書は、 GIAからH&Aと鑑定されたものではなく、単に鑑定書の依頼者がH&Aとレーザー刻印して頂けるようGIAに依頼し、その結果ダイヤモンドのガードル部分に、GIAの鑑定番号とH&Aと レーザー刻印されている為、Inscription(s)欄に、その旨が記されているだけということになります。

またH&Aと刻印されたGIAのダイヤモンドは、基本的には市場での価値は下がります。例えば、お客様ご自身がGIAダイヤモンドを購入する際、ガードル部分に他人様のお名前やお言葉がレーザー刻印されている ダイヤモンドを欲しいでしょうか?H&Aと刻印されたものは、それと全く同じことでございます。世界的に認められたモノでも、GIAが鑑定したモノでもない為、H&Aという刻印は同じような扱いにしかなりません。

H&Aに関しては、業者様でもしっかりとご説明できる方が少ないのが現状でございます。今一度、ご購入前にご検討頂くことをお勧め致します。また、 GIAがH&Aの鑑定をしない事やレーザー刻印は依頼者様からの要望だけで刻印している事等、GIAに直接お聞きになられる事もお勧め致します(GIA Tokyo: 03-5812-3215)。

copyright©2013 Jewel Fujimaki all rights reserved.